物流が変わる今、わたしたちも動きます
近年、ニュースなどで「物流2024年問題」「ドライバー不足」などの話題を目にされた方も多いかと思います。実はこの春、物流業界では大きな法改正があり、これまでの「当たり前の配送」が見直されるタイミングを迎えています。
1.「改正物流効率化法」ってなに?
2024年4月、国による「物流の効率化・持続化」に向けた法律が改正されました。
目的は以下のようなことです:
• ドライバーの労働時間を適正にする
• 荷待ち時間や再配達の削減
• トラックの積載効率を高める
• 荷主と運送会社の連携を強める
つまり、「このままでは物流が回らなくなる」という危機感のもと、業界全体で見直しが求められているのです。
2.定期配送を見直す理由
1.人手不足の解消:毎日配送を週3回に減らせば、同じ車両とドライバーでより多くの得意先をカバーできる
2.コストの適正化:標準的運賃は今年3月に平均8%引き上げられ、荷役・荷待ち料も加算可能に
3.賃上げ余力の確保:実際に多くの物流事業者が賞与・基本給引き上げでドライバー確保に動いている
4.環境対応:台数削減×積載率向上はCO₂削減の近道。荷主への説明材料にもなる
3.食品の現場も例外ではありません
私たちは、日配品やチルド商品など、鮮度が命の商品を日々配送しています。
これまでは「毎日」「午前中」「時間ぴったり」の納品が当たり前でした。
でも実は…
• 車は半分空のまま走っていたり
• ドライバーは朝4時から働いていたり
• 荷降ろしで30分以上待つことも…
そんな現場が全国で起きていました。
例1:中堅食品卸「Aフーズ」の取り組み
背景
• 首都圏の中小スーパーへ日配食品を定期配送
• これまでは「毎日配送」「午前中指定」が当たり前
• ドライバーの長時間労働と空荷率が課題に
取り組み内容
改善施策 | 詳細内容 | 効果 |
---|---|---|
配送日・時間の最適化 | 「毎日→週3回」「午前中→午前/午後便選択制」へ変更 | ドライバー拘束時間30%削減 |
店舗との納品時間予約制導入 | 荷待ち時間を可視化し、予約枠制に移行 | 荷待ち80%削減 |
他社との共同配送 | 同エリア配送の他卸2社とルート統合 | 積載率1.4倍、運行コスト15%削減 |
配送センター統合 | 冷蔵・常温を同拠点に集約 | 荷役回数の削減と庫内効率UP |
例2:大手卸「B食品」とコンビニチェーンの協業事例
背景
• コンビニへ毎日深夜に配送
• トラックが未積載でも走っている状況
• 改正法を機に配送効率見直しを決断
改正法対応の協業内容
項目 | 変更前 | 変更後 |
---|---|---|
配送回数 | 毎日2回(深夜・午後) | 週4回に統合(早朝のみ) |
商品区分 | 常温/冷蔵で便を分けていた | 冷蔵・常温混載便に統合(専用車両活用) |
再配達対応 | 店舗都合での再納品あり | 納品時間指定&受け入れ義務契約 |
結果
• 物流コスト:15%削減
• ドライバー拘束時間:月30時間減
• チェーン全体のCO₂排出:年間12%削減
例3:地域の業務用食品卸「C物産」の事例(飲食店向け)
背景
• 地元の飲食店100店舗に毎日定期配送
• 飲食店側の「午前中じゃないと困る!」がネック
対応策
1. 店舗との説明会を実施
「2024年問題」と「ドライバー不足」について丁寧に説明
2. 配送の時間帯スライド制導入
エリア別に「午前/午後」に便を分割
3. 週2回納品+ストック提案
飲食店に「2日分仕入れ+適温保管」の提案
結果
• 顧客満足度は維持
• 配送便数25%削減
• 配送車両数:3台→2台へスリム化
4.これからの「定期配送」はこう変わります
今後は、以下のような取り組みを順次進めていく必要があります。
項目 | 変更内容 | 目的 |
---|---|---|
配送頻度 | 毎日→週2〜3回に調整 | 積載率アップ・効率化 |
納品時間 | 午前限定→時間帯スライド制 | ドライバーの拘束時間を短縮 |
共同配送 | 他社商品と同便でお届け | トラック台数削減・CO₂削減 |
納品予約 | 荷降ろしの時間指定化 | 荷待ち時間の削減 |
自社チェックリスト(7項目)
☑ | 週3日配送で品切れしない安全在庫量を計算したか |
☑ | 荷主と運賃+荷待ち料の書面を交わしているか |
☑ | トラック予約システムや中継地点を検討したか |
☑ | 共同配送を打診できる近隣業者をリストアップしたか |
☑ | ドライバーの年960h・月284h を超えるスケジュールが残っていないか |
☑ | 標準的運賃の8%アップ分を料金表に反映したか |
☑ | 国の補助金(次章)を活用し、DX・省力化投資計画を作ったか |
このような変更は、単に「効率のため」だけではありません。
物流を持続可能にし、これからも安定した商品供給を続けていくための“必要な変化”です。
もし「配送回数が減るのは困る…」という不安があれば、ぜひ私たちにご相談ください。
例えば、2日分まとめて発注する方法や、店舗での保管方法のご提案も可能です。
5.ポイントまとめ
食品業界が改正物流効率化法に対応する際のキモは:
• 取引先との連携と理解を得る努力(「納品頻度=サービス」ではなくなる)
• 定期配送の「頻度・時間・ルート」の最適化
• 共同配送や物流センター統合による効率アップ
• 人手不足・2024年問題に備える労働環境の改善
未来のために、いま一緒に動きましょう
この取り組みは、食品業界のサステナビリティ(持続可能性)にもつながっています。
• ドライバーの労働環境改善
• CO₂排出の削減
• 食品ロスの削減(過剰納品の防止)
私たちが一緒に、未来のためにできること。
その第一歩が、定期配送の見直しと新しい配送スタイルの構築です。
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